代表弁護士 宇賀神 徹 (うかがみ とおる)

過去に払い過ぎていた利子を返還請求することができる過払い「過払い金請求」ですが、10年の時効があります。

そのため、知らない間に時効を迎えていたというケースも多く、そうなると本来であれば受け取ることができたお金が戻ってくることはありません

1日でも早く行動を起こすことで、時効が成立することを食い止めることができます。

過払い金請求が時効を迎える前に、対処できることを知っておきましょう。

過払い金請求の時効は迫っている

貸金業者が以前は高金利で貸し付けを行っており、違法ではないもののグレーゾーンという利息制限法の上限金利20%と出資法の上限金利29.2%の間による金利での貸し付けが蔓延していたのです。

しかし、2010年の6月18日に貸金業法が改正されることとなり、出資法の上限金利も20%になったのです。

そのため、グレーゾーン金利が廃止されることとなったため、それ以降の借り入れは過払い金が発生することは無くなりました。

つまり、2010年6月18日以前より貸金業者にて借り入れをした場合には過払い金が発生している可能性があり、過払い金請求が出来ます

ただし、過払い金請求ができる時効は10年なので、時効が迫ってきている可能性があるのです。

過払い金の返還請求の時効起算日について

過払い金が発生していた場合には、過払い金の返還請求権があります。

ただし、時効は10年と法律で定められています。

過払い金の返還請求権を持っていても、放置しておけば権利は消滅してしまうのです。

消滅時効はいつから起算するのか知り、自身の請求権が失われないようにしましょう。

最後の取引から起算

過払い金請求では請求権の時効が10年と決まっていますが、借金が返済してから10年ではありません。

最後の取引から10年となるため、継続的な借り入れと返済を繰り返している場合には、時効が進行していないことになります。

すなわち、最後に返済をした日から10年が経過していなければ、過払い金返還請求はできます

「一連」と「分断」について

同じ貸金業者から継続的な借り入れと返済の繰り返しを行っている場合、「一連」か「分断」のどちらで扱われるかによって過払い金の金額や時効の考え方が変わります。

取引を全て別のものとして考えることを分断と言い、取引を合算して1つのものと考えることを一連と言います。

一連として扱われれば、最後の取引から時効が計算されるので、時効が成立していない可能性が高まるのです。

しかし、分断として扱われれば、1度目の取引は10年経過していても2度目の取引は時効が成立していない可能性があります。

過払い金請求の時効の進行は「中断」「停止」できる

過払い金請求の時効が迫っていても、時効の進行を「中断」したり「停止」する手段はあります。

中断や停止をすることで、余裕を持って過払い金請求を行うことができるようになります。

過払い金請求の時効の進行を中断・停止する方法について見ていきましょう。

時効を「中断」する方法

請求権の時効の進行を「中断」するということは、法律では時効を振り出しに戻すことができるということになります。

進行していた時効が、中断されることで10年延長されることになるのです。

過払い金請求の時効の中断をする方法は、裁判上の請求を行うことです。

過払い金請求を提起すると、裁判所に受理された時点で時効が止まります。

そして、裁判が行われることが確定すると、時効を振り出しに戻すことができます。

時効を「停止」する方法

請求権の時効の進行を「停止」するということは、法律では時効の進行を一時的に止めるということになります。

一時的な停止状態になるので、停止が解除されれば再び残りの時効が進行していきます。

過払い金請求の時効を停止する方法は、債権者へ催告することです。

催告は書面を内容証明で送付するだけで出来、裁判上の請求を行うまでの期間に一時的に時効を止めることができます。

ただし、催告で時効を停止することができる期間は6ヶ月間なので、それまでの間に裁判上の請求を行わなくてはいけません。

その他のケース

貸金業者の取引に不正が合った場合には、時効の期限は10年ではなく「過払金の発生を知ってから3年」に変わります

不正行為とは、暴力や強迫による督促や、過度の嫌がらせによる取立て行為などが当てはまります。

また、法的根拠がないことを知りながらも請求を続けることも不正行為です。

これらの行為が合った場合には、過払い請求の時効である10年が経過していたとしても例外的に請求が可能になります。

ただし、そのためには貸金業社による不正行為を立証しなくてはなりません。

まとめ

過払い金は最後の取引から10年が経過してしまえば、例外を除いて請求することが出来なくなります。

2019年現在では時効が近付いている可能性が高いので、1日でも早く時効中断もしくは停止する措置をとる必要があります。

個人では過払い金の時効計算や過払い金請求の計算、そして裁判所への提起は難しいものです。

時効を迎えて過払い金請求が出来ないということにならないように、まずは弁護士に相談しましょう

当事務所では、債務整理など借金問題に強い弁護士が在籍しております。

相談であれば何度でも無料ですので、過払い金請求の時効が成立する前に少しでも早くご相談ください。

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