代表弁護士 宇賀神 徹 (うかがみ とおる)

債務整理方法の中の1つに、「任意整理」というものがあります。

他の債務整理とは違って裁判所を通さない手続きのため、簡単で手早く手続きすることができる債務整理方法になります。

任意整理にはメリットもあれば、もちろんデメリットもあります。

メリットとデメリットを知ることで、どんな人が任意整理に向いているのか見ていきましょう。

任意整理とは

任意整理は

、裁判所を通さずに債権者と直接交渉をする債務整理方法です。

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任意整理では長期の分割返済に変更してもらったり、利息カットなどを交渉することで債務者の返済負担が少しでも軽減するように交渉します。
借金自体は無くなることはありませんが、これまでよりも債務者が返済しやすくなるようになります。

自身で手続きをすることも不可能ではありませんが、専門知識や交渉力が必要となるので、専門家である弁護士に依頼するようにしましょう。

任意整理におけるメリット

まずは、任意整理におけるメリットを見ていきましょう。

返済負担を減らすことができるというメリット以外には、どんなメリットがあるのでしょうか?

督促を止めることができる

個人再生や自己破産の際でも同様ですが、弁護士に依頼することで債権者による督促を止めることができます。

債権者による取立て行為に精神的負担を感じていた場合には、督促が止まることで負担も軽くなるでしょう。

もし弁護士が受任通知を送ったにも関わらず督促が続く場合には、弁護士にすぐに伝えてください。

債務を整理する債権者を選べる

個人再生や自己破産では、借金している全ての債権者が債務整理の対象となります。

そのため、保証人付きの債務も対象となってしまうので、保証人が一括請求をされることになってしまいます。

しかし、任意整理では債務を整理する債権者を選ぶことができます。

そのため、保証人付きの債務を除外することで、保証人を巻き込むことなく債務整理できるのです。

手続きが簡単

任意整理は債権者と直接交渉をするので、裁判所に申し立てる書類の準備など面倒な手続きはありません。

そのため、手続き自体も他の債務整理方法よりも早く終わらせることができます。

弁護士に依頼していれば全て任せられるので、その後は返済していくのみとなります。

任意整理におけるデメリット
任意整理のメリットを見てきましたが、メリットだけではなくデメリットもあります。

どんなデメリットがあるのか見てみましょう。

債務は大きく減額できるわけではない

個人再生や自己破産に比べると、債務を大きく減額できるわけではありません。

任意整理では、将来利息のカットや支払いの調整を目的として行われるので、借金自体が減額されるというわけではありません。

ただし、引き直し計算によって過払い金が見つかれば、減額や過払い金の返還を受けられます。

一定期間ローンやクレジットカードが利用できない

他の債務整理と同じですが、任意整理をしても信用情報機関に事故情報が登録されます。

任意整理であれば、5年間は新規ローンを利用することや、クレジットを発行することはできません。

そのため、ローンやクレジットカードを利用するには、5年間が経過して事故情報が削除されるのを待たなくてはいけません。

任意整理はこんな人に向いている

任意整理は、比較的デメリットの少ない債務整理方法ですが、借金自体は減額になりません。
メリットとデメリットを比較した上で、以下のようなケースが任意整理に向いている人であると言えます。

利息カットで返済が可能な人

任意整理では、利息のカットや長期分割によって債務者が返済しやすいようにします。

借金自体は減額されるわけではないので、支払い整理されたことで返済ができるという人でなくてはいけません。
つまり、一定収入があるケースや消費者金融の高金利に悩まされているようなケースに任意整理が向いています。

特定の債権者だけを選びたい人

任意整理では、特定の債権者だけを選んで債務を整理できます。

そのため、保証人付き債務のみを除外することで、保証人に迷惑を掛けることなく債務整理ができます。

また、住宅ローンなど特定の債権者だけに限定したい人に向いています。

自己破産や個人再生では、特定の債権者を除外することは出来ません。

家族にできる限り影響を与えたくない人

家族が保証人になっており、保証人付きの債務を対象にする場合には影響を与えてしまいますが、保証人でなければ影響を与えることはありません。

財産を没収されるようなこともないので、自宅や車もそのまま維持できます。

そのため、家族に影響を与えることが最も少ない債務整理方法です。

まとめ

任意整理のメリットとデメリットを紹介してきましたが、自身の債務や資産の状況などを照らし合わせて、任意整理が向いているのかどうか検討してみてください。

どういった債務整理が向いているのかは、弁護士に相談することでアドバイスももらえます。

当事務所では多くの借金問題を解決した実績のある弁護士が、状況と相談者様の意向を合わせた上でベストな解決方法を提案致します。

相談は何度でも無料ですので、一人で悩まずにまずは相談から一歩踏み出してみてください。

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