代表弁護士 宇賀神 徹 (うかがみ とおる)

借金の返済が難しくなってしまっても、「債務整理」と聞くと手続きが大変だし時間がかかってしまうのではないかと考えられがちです。
もちろん自分自身で全てを進めようと思うと知識や経験がないので、かなりの時間を要して大変でしょう。
しかし、専門家に任せることで債務整理手続きはスムーズに進めることができます。
債務整理にかかる期間や、借金完済までの期間について詳しく解説していきます。

債務整理の種類によって流れや期間は異なる

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類がありますが、選ぶ債務整理方法によって手続きの流れが異なります。
そのため、手続きに必要とする期間も違ってくるのです。
それぞれどのような流れで進み、どれくらいの期間が必要になるのか見ていきましょう。

任意整理の場合

任意整理の場合、債務整理方法の中でも唯一裁判所を介すことなく行われる債務整理方法なので、比較的スピーディーに手続きを完了できる傾向にあります。
直接貸金業者と交渉を行うため、貸金業者や状況によっても違いがありますが平均で3~6ヶ月ほどの期間が必要になります。

①:受任通知の送付・取引履歴の開示請求

弁護士に債務整理を依頼すると、すぐに貸金業者に受任通知を送付します。
そうすると、貸金業者は直接債務者と連絡することができなくなるため、督促を止めることができます。また同時に、取引履歴の開示請求も行います。

②:引き直し計算・整理案の作成

2週間~1カ月ほどで貸金業者から取引履歴が送付されるので、そこから過払い金の有無の確認や引き直し計算を行って、残債を確定します。そして、整理案を作成して債権者に送付します。

③:交渉・同意

送付した整理案を元に、各貸金業者と交渉を行います。
応じない場合に債務者が自己破産をしてしまうと配当が得られなくなることからも、任意整理に応じる貸金業社が多いです。
同意が得られると和解成立となり、承諾書を貸金業者に送付して、返送されてきたことが確認されたら弁済が開始されます。

個人再生の場合

個人再生は、任意整理に比べると裁判所を介すため手続きが複雑になり、必要とする期間も長くなります。
地域によっても流れが異なりますが、平均としては6ヶ月ほどの期間が必要となります。
ケースによっては1年ほどかかることもあります。

①・②に関しては任意整理と同様

③:裁判所へ申し立て

申立て書類と必要な書類を作成し、地方裁判所へ提出します。
申立の準備には2~3ヶ月間かかります。その間、債権者の請求は止まりますので心配はいりません。

④:債権届出・再生計画案の提出

債権者が債権額の確認を行い、債権届出を行います。
そして、確定された債務額に基づいて再生計画案と呼ばれる借金返済の計画を制作して裁判所に提出します。

⑤:決議・再生計画の認可決定

裁判所が各貸金業者に再生計画案と議決書を送付して、書面による決議が行われます。
そして、債権者の2分の1以上の反対がなかった場合に裁判所から再生計画の認可決定が出されるのです。
個人再生には債権者の決議を要しない手続きもあります。一般的には、返済額が多くなる傾向がありますが、反対決議が過半数を超えるおそれがある場合は有効です。

自己破産の場合

自己破産も個人再生と同様で、裁判所を介して行われます。
同時廃止事件の場合であれば3~6ヶ月ほどで手続きが完了しますが、管財事件になると半年~1年ほど時間が必要になります。

①~③に関しては個人再生と同様

④:審尋

裁判官との面接となり、破産の原因や法律上の要件を満たしているか審理されます。
この際に、弁護士に依頼していると弁護士が一緒に審尋を受けてくれます。その反対に司法書士に依頼しているとご本人が一人で審尋を受けることになります。

⑤:破産手続きの開始決定

財産がある場合には管財事件となり、破産手続きの開始決定と同時に財産が清算されます。
また、免責に問題があり、その問題が大きな場合も管財事件となることがあります。この場合、管財人に生活やお金の使い方のチェックを受けることになります。
それ以外の場合は同時廃止事件となり、免責審問を受けて裁判官と面接して免責許可が下りたら手続きが完了します。

債務整理後に借金返済にかかる期間とは

自己破産の場合は借金が免責されるため、返済の必要がなくなります。
しかし、任意整理と個人再生の場合は残債を再生計画案通りに返済していくことになります。
返済期間の多くは3年で、最大でも5年です。
ただし、病気や予期せぬ解雇などによって返済が難しい場合は、2年引き延ばすことも可能です。
つまり、債務整理の手続を始めてから借金返済にかかる期間は、任意整理や個人再生では3年半~5年ほどとなり、自己破産では半年ほどで借金から解放されることになります。

まとめ

債務整理を弁護士に任せることで手続きに不備がないように進められるため、自身で手続きをするよりも遥かに早く手続きを完了することができます。
また、自身に合った債務整理方法を提案してもらい、無理なく返済していけるようにアドバイスをもらえます。
当事務所では借金問題解決実績の豊富な弁護士が、ベストな解決方法でサポート致します。
相談者様に寄り添って、相談者様の意向を組みながらサポート致しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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