ご依頼の背景
借金の状況 | 3000万円 |
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借金の理由 | 保証人、生活費 |
借入先 | 銀行、消費者金融 |
子供の奨学金の保証、勤務先の借金の約1800万円の保証債務を負い、夫の債務の肩代わりと本人が鬱病になって働けなくなったことから、生活費として借り入れ、約1200万円の借金を負った。鬱病で働くことができず、返済の目処は全くない。
弁護士の見通し
個人の破産で住宅ローンがないにもかかわらず、負債が3000万円であることは問題である。しかし、保証債務が1800万円であり、子供の奨学金や勤務先の保証人になったことは債務者にとってやむを得ない事情と言える。その上、鬱病で仕事に就けない以上、自己破産しか方法はないと判断した。債務額が多いことから裁判所に呼ばれることは想定していたが、鬱病で働けないことから、同時廃止になると考えていた。しかし、自己破産申立後、相談者は過去に2度自己破産していたことが判明した。今回の破産は3度目であった。このことは本人の記憶から完全に抜け落ちているようであり、裁判所からの指摘で初めて発覚した。もっとも、過去2度の破産は、20年以上前と10年以上前のことであり、免責は可能であると判断した。
サポートの流れ
初めての自己破産であることを前提に準備した。債務額が多いことから、裁判所に呼ばれることは想定したが、過去2度の破産については驚いた。相談者は身に覚えがないというが、氏名と生年月日が一致することから、同一人である可能性が高い。裁判所に対しては、仮に3度目の自己破産であっても、今回の債務の原因は保証責任と夫の債務の肩代わり、鬱病による生活費不足が原因であることから、同時廃止手続きで免責を許可するべきであると訴えた。
結果
裁判所は、過去2度の自己破産を踏まえても、今回の自己破産はやむを得ないものと判断し、同時廃止手続きで免責を許可した。一般的には、破産管財事件になるところであるが、債務者が過去2度の自己破産を記憶していないことについては鬱病の影響であり、故意ではないこと、今般の自己破産には免責不許可事由がないこと、債務者の鬱病は深刻であること等を丁寧に訴えて、債務者の窮状について裁判所の理解が得られた結果だと考えている。